研究助成

2021年度 生命科学研究助成

肝ATP・ADO動態に着目したNAFLD/NASHの新たな病態機構解明と治療への応用

研究題目 肝ATP・ADO動態に着目したNAFLD/NASHの新たな病態機構解明と治療への応用
年度/助成プログラム 2021年度 生命科学研究助成
所属 大分大学 医学部 神経生理学講座
氏名 花田 礼子
キーワード NAFLD/NASH / ゼブラフィッシュ / 遺伝子改変技術 / ATP、ADO / DAMPs
研究結果概要 肝細胞外ATP、アデノシン(ADO)がダメージ関連分子パターン(DAMPs)として脂肪性肝疾患(SLD)の病態進行に関与することが報告されているが、その詳細は未だ不明である。本研究では、SLDにおける肝細胞外ATP、ADO動態の病態生理的意義を明らかにすることを目的とした。まず、野生型ゼブラフィッシュを用いてアルコール性肝疾患(ALD)および代謝機能異常関連脂肪性肝疾患(MASLD)モデルを作製し、肝臓のATP、ADO含量を測定したところ、ALDモデルではATP、ADO含量が低下し、MASLDモデルでは増加を認めた。さらに、HepG2細胞へのエタノールまたはパルミチン酸投与では、細胞内外のATP、ADO動態に相関は認められなかった。そこで、肝細胞外ATP、ADO動態をGFP蛍光輝度にて可視化するGRABセンサーゼブラフィッシュ を独自に樹立し、ALD およびMASLDモデルを解析したところ、両群ともにSLD病態進行度と相関して、肝細胞外ATP、ADO動態を示すGFP輝度の増加を認めた。以上から、肝細胞外ATP、ADO動態がSLD病態進行に深く関与することが明らかとなった(参考文献1)。
公表論文 1) Hepatic extracellularATP/adenosine dynamics in zebrafish models of alcoholic and metabolic steatoticliver disease. Sci Rep. 2024 Apr 3;14(1):7813. doi: 10.1038/s41598-024-58043-5. 2) Behavioral and neurotransmitter changes on antiepileptic drugstreatment in the zebrafish pentylenetetrazol-induced seizure model. Behav BrainRes. 2024 Apr 27;464:114920. doi: 10.1016/j.bbr.2024.114920. Epub 2024 Feb 23. 3) Behavioral and neurological effects of Vrk1 deficiency in zebrafish. BiochemBiophys Res Commun. 2023 Oct 1;675:10-18. doi: 10.1016/j.bbrc.2023.07.005. 4) Vrk2 deficiency elicits aggressive behavior in femalezebrafish. Genes Cells. 2022 Apr;27(4):254-265. doi: 10.1111/gtc.12924. Epub