研究助成
2021年度 生命科学研究助成
生活習慣病発症の基盤となるエピゲノム代謝記憶
研究題目 | 生活習慣病発症の基盤となるエピゲノム代謝記憶 |
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年度/助成プログラム | 2021年度 生命科学研究助成 |
所属 | 群馬大学 生体調節研究所 代謝エピジェネティクス分野 |
氏名 | 稲垣 毅 |
キーワード | エピゲノム / 生活習慣病 / 脂肪細胞分化 / 鉄 |
研究結果概要 | 「エネルギー環境がどのように感知されてエピゲノム情報が書き換わり、細胞分化に影響を及ぼすのか」についての分子機構は不明な点が多い。本研究は、脂肪細胞分化モデルを対象としてRNAシーケンス、全ゲノムバイサルファイトシーケンス、ChIPシーケンスを実施し、統合的に解析した。その結果、脂肪細胞の分化初期におこるヒストンやDNAの脱メチル化というエピゲノム変化に鉄が必須であることを見出した。さらに、脂肪細胞分化を制御する鉄依存性のエピゲノム酵素としてヒストン脱メチル化酵素JMJD1AとDNA脱メチル化酵素TET2を同定した。詳細な検討の結果、脂肪細胞分化初期にフェリチノファジーを介した貯蔵鉄の供給が活発化するとともに、細胞内鉄輸送を担うシャペロンタンパクPCBPの核内移行が誘導されることを見いだした。また、核内エピゲノム情報が酵素活性制御を受けて書き換わり、脂肪細胞分化のマスター制御因子PPARγの発現が誘導される機構を見出した。その結果、鉄の供給量増加や細胞内輸送を通じてエピゲノム酵素が鉄を感知し、エピゲノムが書き換えられ、転写が制御されることで細胞の分化が制御されるという流れが示された。 |
公表論文 | Crucial role of iron in epigenetic rewriting during adipocyte differentiation mediated by JMJD1A and TET2 activity. Nucleic Acids Res. (2023) 51(12):6120-6142. Suzuki T., Komatsu T., Shibata H., Tanioka A., Vargas D., Kawabata-Iwakawa R., Miura F., Masuda S., Hayashi M., Tanimura-Inagaki K., Morita S., Kohmaru J., Adachi K., Tobo M., Obinata H., Hirayama T., Kimura H., Sakai J., Nagasawa H., Itabashi H., Hatada I., Ito T., Inagaki T. |
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