研究助成

2021年度 生命科学研究助成

制御性T細胞と樹状細胞のバランスによる免疫系・生体恒常性制御機構の解明と新規免疫療法・再生療法への挑戦    

研究題目 制御性T細胞と樹状細胞のバランスによる免疫系・生体恒常性制御機構の解明と新規免疫療法・再生療法への挑戦    
年度/助成プログラム 2021年度 生命科学研究助成
所属 名古屋市立大学 大学院医学研究科 
氏名 山崎 小百合
キーワード 制御性T細胞 / 樹状細胞 / 免疫制御
研究結果概要 免疫系は元来、生体に侵入して感染症を起こす病原体などへの防御のために備わっているシステムである。免疫系は感染症のみでなく、自己免疫、アレルギー、腫瘍免疫、移植免疫、慢性炎症など、多くの病態に関わっているため、その適切な制御は健康や生体恒常性の維持につながるため大変重要である。免疫を制御するCD4+リンパ球サブセットである制御性T細胞は、様々な免疫反応や炎症反応を抑え、多くの病気の制御に関わる重要な細胞である。特別な抗原提示細胞である樹状細胞は、自然免疫と獲得免疫をつなぎ、免疫反応をコントロールする、これも重要な細胞である。この二つの重要な免疫系のコントローラーである制御性T細胞と樹状細胞がお互いに働きかけて、そのバランスで免疫系や生体恒常性を制御していることを見出した。今回、制御性T細胞と樹状細胞のバランスによる免疫制御を利用したワクチン応用への新戦略と、腫瘍微小環境におけるユニークな免疫制御を論文成果として発表することができた。現在、引き続き、新規免疫療法などへの貢献を目指して研究推進中であり、興味深いデータを得ている。本財団助成金による有難い支援に心より感謝申し上げる。
公表論文 Foxp3+ CD4+ regulatory T cells control dendritic cells in inducing antigen-specific immunity to emerging SARS-CoV-2 antigens, PLoS Pathogens 2021, 17, e1010085. Mature dendritic cells enriched in regulatory molecules may control regulatory T cells and the prognosis of head and neck cancer Cancer Science 2023,114,1256-1269.