研究助成

2021年度 生命科学研究助成

神経向性ウイルス感染を制御する獲得免疫系の重要性

研究題目 神経向性ウイルス感染を制御する獲得免疫系の重要性
年度/助成プログラム 2021年度 生命科学研究助成
所属 国立研究開発法人医薬基盤・健康・栄養研究所 細胞核輸送ダイナミクスプロジェクト
氏名 飯島 則文
キーワード ウイルス感染 / 獲得免疫系 / 神経組織
研究結果概要 神経組織に侵入する DNA ウイルスやレトロウイルスの多くが神経機能の維持に大きな影響を与え、致死的な脳炎や神経変性疾患などの慢性疾患を引き起こす誘因となる可能性がある。我々のグループは、神経組織に侵入した DNA ウイルスの一種である単純ヘルペスウイルス (HSV) の複製がどのようにして獲得免疫系によって制御されているのか詳細に解析し、新規治療標的を明確にすることを目的とした。我々は、先の研究から、T 細胞が分泌する IFN-g が血液神経関門の透過性を上昇させることにより血液中から抗体の流入を促し、ウイルスの伝播を抑制することをすでに発見していたが、その詳細な生体防御メカニズムは不明であった。そこで、神経組織に局在するどの細胞に発現する IFN-g 受容体がウイルスの複製抑制に重要かを明らかにする目的で、骨髄キメラを作成した。その結果、予想と反して、骨髄由来の細胞群に発現するIFN-g 受容体がウイルスの複製抑制に重要な役割を果たしていることを明らかにした。今後、ウイルスに感染した神経細胞における IFN-g 非依存的な生体防御メカニズムの解明に取り組む予定である。
公表論文 1. Prostaglandin in the ventromedial hypothalamus regulates peripheral glucose metabolism. Nat Commun. 12(1):2330, 2021: doi: 10.1038/s41467-021-22431-6. 2. Refeeding activates neurons in the dorsomedial hypothalamus to inhibit food intake and promote positive valence. Mol Metab. 101366, 2021: doi: 10.1016/j.molmet.2021.101366.