研究助成

2021年度 生命科学研究助成

胸腺微小環境の全容解明によるT細胞免疫システムの理解・制御

研究題目 胸腺微小環境の全容解明によるT細胞免疫システムの理解・制御
年度/助成プログラム 2021年度 生命科学研究助成
所属 東京理科大学 生命医科学研究所
氏名 新田 剛
キーワード 胸腺 / T細胞 / ストロマ細胞 / 胸腺上皮細胞 / 線維芽細胞
研究結果概要 胸腺はT細胞の成熟に必須の臓器である。本研究では、胸腺の微小環境を構成するストロマ細胞の全容と生理機能を理解することを目的とした。マウスをモデル動物とし、胸腺を構成する全てのストロマ細胞 – 胸腺上皮細胞、線維芽細胞、血管系細胞など - の調製法を確立し、分子マーカーや遺伝子発現データを取得した。特に、自己免疫寛容に重要な髄質上皮細胞に着目し、髄質上皮細胞の分化を制御する転写因子Sox4を同定した。また、髄質上皮細胞の調節因子OPGの産生機構を明らかにし、OPGによる調節がT細胞の「自己・非自己認識の境界」を決定していることを見出した。さらに、加齢やストレスによる胸腺の退縮に伴う胸腺ストロマ細胞の変容を明らかにし、老齢期特異的に生成されるT細胞クローンを同定した。今後、老齢期特異的T細胞の抗原特異性や交叉反応性を検討し、加齢に伴う免疫システムの変化を明らかにしてゆく。
公表論文 Mesenchymal stromal cells in the thymus. Inflamm Regen, 42, 33, 2022