研究助成

2021年度 ライフサイエンス研究助成

オーキシンとPINは如何にして植物の体の形を決めるようになったのか?ゼニゴケを 用いた進化発生生物学的解析

研究題目 オーキシンとPINは如何にして植物の体の形を決めるようになったのか?ゼニゴケを 用いた進化発生生物学的解析
年度/助成プログラム 2021年度 ライフサイエンス研究助成
所属 北海道大学大学院 理学研究院
氏名 楢本 悟史
キーワード オーキシン / 極性輸送 / 進化 / PIN / ゼニゴケ
研究結果概要 維管束植物では、組織中のオーキシン濃度勾配や体軸は、オーキシン排出担体PINの発現パターンや細胞における偏在に基づいて形成される。本研究では、植物形態の多様化・進化におけるオーキシンの役割を明らかにするために、コケ植物のゼニゴケにおけるオーキシン極性輸送の役割について研究を行った。これまでに私は、PIN1がゼニゴケの背腹軸パターン形成に重要な役割を果たすことを見いだしている。そこで本研究ではその作用メカニズムについて更なる解析を行った。遺伝学、生理学、細胞生物学的解析の結果、(1)PIN1は背腹軸パターンを形成する過程で、徐々に背側組織におけるPIN1の細胞膜における存在量が減少することが明らかになった。また、(2)このPIN1の細胞膜における存在量の減少は、小胞輸送制御因子VAN3、ならびに、青色光依存的であることが明らかになった。加えて、(3)青色光受容体PHOTの下流で、PINをリン酸化する酵素D6PKが働くことも明らかになった。現在、PHOT、VAN3、D6PKらの因子がお互いにどのような作用機序で働くのか解析を行っている。
公表論文