研究助成

2021年度 ライフサイエンス研究助成

栄養状態を感知して、卵細胞の生死を分ける機構の解明

研究題目 栄養状態を感知して、卵細胞の生死を分ける機構の解明
年度/助成プログラム 2021年度 ライフサイエンス研究助成
所属 京都工芸繊維大学 応用生物学系
氏名 高木 圭子
キーワード 完全変態昆虫 / 端栄養型卵巣 / 予定細胞死 / 貪食 / 飢餓
研究結果概要 昆虫の卵巣型のうち、保育細胞を持つ栄養型卵巣は、多栄養型と端栄養型の二つに分類される。多栄養型卵巣は、卵細胞に栄養を供給する保育細胞とともに、体細胞(濾胞細胞)に包まれ濾胞を形成する。この保育細胞は卵細胞の姉妹細胞でもある。メスの栄養状態が悪いと、卵黄合成期初期の濾胞は成長を停止し、やがて崩壊することから、この時期は「生きるか死ぬか」のチェックポイントと呼ばれる。チェックポイントの制御は、主に保育細胞が行っている。一方、端栄養型卵巣に含まれる保育細胞は全てanterior側に局在し、離れた位置にある卵細胞は単独で濾胞細胞に包まれる。この端栄養型卵巣においてもチェックポイントがあることを確認した。保育細胞を含まない濾胞において、どのように時期特異的な成長の停止や細胞死が起こるのか検証した。その結果、チェックポイントの時期特異的に、濾胞細胞が多倍数体化し貪食シグナルを受けることが、端栄養型卵巣におけるチェックポイントの制御に必要であることが明らかとなった。また、多栄養型卵巣とは異なり、昆虫ステロイドホルモンなどによる内分泌的な制御はなされていない可能性を示唆する結果も得た。
公表論文