研究助成

2021年度 ライフサイエンス研究助成

細胞極性タンパク質を起点としたER陽性乳がん特異的代謝酵素の機能解析

研究題目 細胞極性タンパク質を起点としたER陽性乳がん特異的代謝酵素の機能解析
年度/助成プログラム 2021年度 ライフサイエンス研究助成
所属 慶應義塾大学 先端生命科学研究所
氏名 齊藤 康弘
キーワード 細胞極性タンパク質 / 乳がん / 代謝
研究結果概要 乳がんの大部分ではホルモン受容体であるエストロジェン受容体(ER)の高発現が認められ、ER陽性乳がんと診断される。我々は上皮細胞の頂端-基底極性を制御する細胞極性タンパク質LLGL2がER陽性乳がん細胞に高発現していること、そして、LLGL2はアミノ酸トランスポーターであるSLC7A5と相互作用し、SLC7A5の細胞膜局在を促進する結果、細胞内にアミノ酸ロイシンが異常に取り込まれ、細胞増殖が亢進することを見出した。我々はさらなるLLGL2の病態生理学的役割の解明を進めるため、LLGL2と相互作用する分子の探索を行い、グルコース-6-リン酸デヒドロゲナーゼ(G6PD)とイソクエン酸デヒドロゲナーゼ2(IDH2)を同定した。本研究ではエネルギー代謝に重要な酵素であるG6PDとIDH2においてLLGL2が果たす生物学的、そして、病態生理学的役割の解明を試みた。本研究においてLLGL2とG6PD、または、LLGL2とIDH2の物理的な相互作用を確認することは出来たが、LLGL2が代謝酵素にもたらす病態生理学的役割の解明にはまだデータを取得する必要があると考えられた。
公表論文