研究助成

2021年度 ライフサイエンス研究助成

ドーパミン神経終末における匂い表象のシナプスメカニズム

研究題目 ドーパミン神経終末における匂い表象のシナプスメカニズム
年度/助成プログラム 2021年度 ライフサイエンス研究助成
所属 秋田大学 大学院理工学研究科
氏名 山方 恒宏
キーワード 報酬系 / ドーパミン / ニコチン受容体 / 意思決定
研究結果概要 ドーパミン神経による報酬・罰処理は、種を超え保存された脳のメカニズムである。これまでの成果により、ショウジョウバエの嗅覚連合学習において、ドーパミン神経が報酬と罰を処理し、その強化信号を記憶中枢に伝達することが分かってきた。また、これらの神経群は、歩行や栄養状態など様々な情報を統合し、複雑な処理も行う。とりわけ、罰系ドーパミン神経群による罰予測を示唆する先駆的な発表以来、ショウジョウバエ脳内のドーパミン神経群が匂いに対し顕著な活動を示すことはこれまでも知られてきたが、その出自や機能は長らく不明であった。ところが近年、記憶中枢ケニオン細胞を起点とするドーパミン神経終末部の局所的な匂い処理が示唆され、我々は報酬系ドーパミン神経終末部における代謝型GABA受容体を介した匂い応答の抑制制御機構とその破綻による行動変容を見出した。本研究課題では、上記の発見を推し進め、報酬系細胞群のプレシナプスに局在するニコチン性アセチルコリン受容体がシナプス匂い応答の形成因となり、学習依存的な匂い選択意思決定の制御に係るエビデンスを突き止めた。
公表論文