研究助成
2021年度 医学系研究助成(基礎)
上皮細胞と自然リンパ球の相互作用を主軸としたアトピー様皮膚炎の病態解明
研究題目 | 上皮細胞と自然リンパ球の相互作用を主軸としたアトピー様皮膚炎の病態解明 |
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年度/助成プログラム | 2021年度 医学系研究助成(基礎) |
所属 | 理化学研究所 生命医科学研究センター・自然免疫システム研究チーム |
氏名 | 小林 哲郎 |
キーワード | 上皮免疫クロストーク / アトピー様皮膚炎 / 皮膚バリア / 自然リンパ球 |
研究結果概要 | アトピー性皮膚炎を含めた慢性皮膚炎の病理学的な特徴の一つは表皮の肥厚である。表皮の肥厚は上皮細胞から産生される成長因子がオートクラインに働き、さらには免疫細胞から産生される液性因子がパラクラインに働くことで多様な細胞間ネットワークが構築されることで起こる現象であると考えられている。我々は皮膚に常在する自然リンパ球(Innate lymphoid cell: ILC)が上皮細胞と相互作用を行い組織の恒常性を保つことを以前報告しており、上皮の肥厚にもILCが関与していると考えた。機械的皮膚バリア破壊によって上皮細胞からは細胞外ATPが放出され、ILC1からの上皮細胞成長因子AREG産生を増大させ、上皮細胞の増殖・分化亢進の結果、上皮の肥厚が起きることがわかった。上皮細胞-細胞外ATP-ILC1-AREGによって構成される上皮-自然リンパ球クロストークが組織の恒常性を維持する重要な要素となり、このシステムの破綻がアトピー様皮膚炎を始めとした皮膚炎の悪化に関わっている可能性が考えられた。この経路に関わる分子は皮膚炎治療の創薬の標的となる可能性もあり、重要な知見を提供しうると考えられる。 |
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