研究助成

2021年度 医学系研究助成(がん領域(基礎))

マルチオミクス技術を駆使した B 細胞リンパ腫特異的 PD-L2 バリアントの発現制御機構および生物学的意義の解明

研究題目 マルチオミクス技術を駆使した B 細胞リンパ腫特異的 PD-L2 バリアントの発現制御機構および生物学的意義の解明
年度/助成プログラム 2021年度 医学系研究助成(がん領域(基礎))
所属 国立がん研究センター研究所 分子腫瘍学分野
氏名 古屋 淳史
キーワード PD-L2 / 腫瘍免疫 / 免疫チェックポイント
研究結果概要 免疫チェックポイント阻害剤によるPD-1/PD-L1経路を標的としたがん治療は、既に実臨床で効果を示しているが、成績向上にはPD-1/PD-L1以外の免疫チェックポイント分子の理解が不可欠である。本研究ではPD-1のもうひとつのリガンドで、B細胞リンパ腫において発現が高いPD-L2に着目し、その発現制御機構と生物学的意義の解明を目指した。まず、これまでに我々が同定していたB細胞リンパ腫細胞におけるPD-L2発現制御部位について転写制御因子解析を行い、B細胞リンパ腫特異的な制御領域と非特異的な古典的制御領域でそれぞれPD-L2発現を調節している分子を明らかにした。次に、PD-L2過剰発現腫瘍マウスモデルを用いてマルチオミクス単一細胞解析を行ったところ、PD-L2の過剰発現が腫瘍微小環境における形質細胞様樹状細胞の増加を引き起こし、薬剤的な除去によって腫瘍縮小効果が得られることを明らかにした。本研究によりPD-L2の発現制御機構と腫瘍免疫における役割に関する新たな知見が得られ、PD-L2を標的とした新規治療法の開発に向けた重要な一歩となった。さらに知見を発展させるべく研究を継続する。
公表論文