研究助成

2021年度 医学系研究助成(精神・神経・脳領域)

次世代RT-QuIC法を用いたヒトプリオン病の血液診断法の開発

研究題目 次世代RT-QuIC法を用いたヒトプリオン病の血液診断法の開発
年度/助成プログラム 2021年度 医学系研究助成(精神・神経・脳領域)
所属 宮崎大学 医学部感染症学講座微生物学分野
氏名 髙月 英恵
キーワード プリオン病 / 試験管内プリオン増幅法 / RT-QuIC
研究結果概要 本研究は低侵襲的に採取可能な血液サンプルから異常型プリオンタンパク質(PrPSc)の検出を可能とする次世代RT-QuIC法を構築することを目的とした。RT-QuIC法は正常型プリオン蛋白がPrPScと相互作用し構造変換することによってアミロイドフィブリルを形成する性質を利用したものであり、0.1フェムトグラムと極微量でも検出できるが、サンプル中の夾雑物により反応が阻害されやすい。そこで血液中の夾雑物を除く処理方法を複数試みた。陽性コントロールとしてL-BSE(非定型牛海綿状脳症)経口感染マカク(サル)の発症個体より採取された体液を用いた。血しょうおよび血清サンプルからプリオン活性の検出はできなかった。一方、尿サンプル中からLog SD50(50% seeding dose) = 3.00/mlのプリオン活性が測定された。血液と比べ尿の採取は容易であり侵襲を伴わないため、今後ヒトプリオン病においても有効か検証を行う。また、並行して培養細胞中のプリオン活性の測定条件が確立され、プリオン病治療薬候補化合物のプリオン抑制効果の検証に応用することが可能となった。
公表論文 Pentosan polysulfate induces low-level persistent prion infection keeping measurable seeding activity without PrP-res detection in Fukuoka-1 infected cell cultures, Sci Rep, 2022 May 13;12(1):7923. doi: 10.1038/s41598-022-12049-z.