研究助成

2021年度 医学系研究助成(がん領域(基礎))

空間的遺伝子発現解析を用いた膵癌の不均一性と偏在性の探索

研究題目 空間的遺伝子発現解析を用いた膵癌の不均一性と偏在性の探索
年度/助成プログラム 2021年度 医学系研究助成(がん領域(基礎))
所属 杏林大学 病理学教室
氏名 林 玲匡
キーワード 膵癌 / 空間的遺伝子発現解析 / 腫瘍内不均一性
研究結果概要 膵癌は予後不良な固形癌で、特に退形成癌は急速な進行を示し、予後が非常に悪い。本研究は、膵癌の退形成変化に注目し、空間的遺伝子発現解析技術を用いて退形成に関連する遺伝子を同定することを目的とした。杏林大学の膵癌手術症例から8例を抽出し、上位4例について空間的遺伝子発現解析を実施した。空間的遺伝子発現解析の結果、通常型腺癌と退形成癌で異なる発現プロファイルが確認され、形態学的特徴が遺伝子発現と相関することが示された。さらに、擬時間を用いた軌道推定解析により、退形成変化が通常型腺癌の脱分化過程であることが示唆された。発現変動遺伝子を用いた転写因子予想解析からは、退形成変化に重要な遺伝子として、他の癌腫で形態変化を引き起こす転写因子Xが推定された。現在は転写因子Xの発現制御メカニズムの解明に取り組んでいる。
公表論文