研究助成

2021年度 医学系研究助成(がん領域(基礎))

エピゲノム制御と新生RNAの連動を介したがん進展機構の解明

研究題目 エピゲノム制御と新生RNAの連動を介したがん進展機構の解明
年度/助成プログラム 2021年度 医学系研究助成(がん領域(基礎))
所属 千葉大学 大学院医学研究院分子腫瘍学
氏名 星居 孝之
キーワード H3K4me3 / SETD1A / 白血病 / 転写制御 / RNA結合
研究結果概要 H3K4メチル化酵素SETD1Aの新たな転写制御機能は白血病に対する創薬標的である(Hoshii et al., Cell, 2018)。PROTAC技術を活用することによりSETD1Aの機能阻害直後に生じる影響を解析し、SETD1Aは新生RNAの生成に必須であり、特に転写開始点近傍で生じる転写の休止・休止解除の制御機構に関わることを見出した(Hoshii et al., Cell Reports, 2022)。本研究ではSETD1A蛋白の中で創薬標的と考えられる二つの機能性領域に着目して機能解析を実施した。その結果、SETD1AはRNAの結合、特に新生RNAへの結合を介して、転写開始点近傍にて安定的に存在することが示唆された。さらに研究において、FLOSドメインに結合する新たな分子を同定し、SETD1A蛋白の安定性に必要となることを見出した。同定した分子について機能解析を行なった結果から、クロマチン上のSETD1Aの安定性を司り、SETD1Aの上流制御因子として働くことが明らかとなった。本研究はSETD1A複合体の形成と機能を特異的に阻害する創薬開発の基盤となることが期待される。
公表論文