研究助成

2021年度 医学系研究助成(精神・神経・脳領域)

神経軸索性インポーチンα(KPNA)による細胞質ダイニン輸送制御と精神・神経疾患発症機構の解明

研究題目 神経軸索性インポーチンα(KPNA)による細胞質ダイニン輸送制御と精神・神経疾患発症機構の解明
年度/助成プログラム 2021年度 医学系研究助成(精神・神経・脳領域)
所属 福井大学 医学部分子生体情報学
氏名 水野 克俊
キーワード インポーチン / 軸索
研究結果概要 インポーチンα (KPNA) やインポーチンβ1 (IPOB1)は代表的な核移行因子であり、様々なシグナルを核内へと伝える機能を持つ。本研究では、神経軸索において局在を示すインポーチンに着目した。KPNA1およびIPOB1は細胞体だけでなく軸索に局在する一方で、生化学的解析や近接相互作用からは、軸索におけるKPNA1とIPOB1の相互作用が強くないことが示された。さらに蛍光タンパク質との融合タンパク質を共焦点顕微鏡で観察する他、様々な変異を有するKPNA1を作製し、蛍光観察することでその動態の変化を調べた。その結果、KPNA1、IPOB1いずれも軸索上で活発に動く様子が観察された。これらの結果は、軸索上のKPNA1およびIPOB1は静止している構造を構成するのではなく、分子モーターによって活発に輸送をされていることを示した。また、精神疾患との関連が報告されている変異を導入したところ、局在の異常が観察された。以上の結果から、統合失調症関連変異と軸索のKPNA1動態からも、核移行だけでなく、軸索から細胞体、もしくは細胞体から神経末端への物質輸送やシグナル伝達に関わるを強く示唆する。
公表論文