研究助成

2021年度 医学系研究助成(基礎)

自然リンパ球が骨格筋の機能的萎縮を抑止する:敗血症サバイバー早期離床への新規治療標的の研究

研究題目 自然リンパ球が骨格筋の機能的萎縮を抑止する:敗血症サバイバー早期離床への新規治療標的の研究
年度/助成プログラム 2021年度 医学系研究助成(基礎)
所属 三重大学医学部附属病院 救命救急・総合集中治療センター
氏名 赤間 悠一
キーワード 2型自然リンパ球 / 敗血症 / PD-1 / ICU-AW / IL-13
研究結果概要 集中治療関連筋力低下(ICU-AW)は、敗血症生還者に見られる問題で有効な治療法がまだ確立されていない。本研究では、PD-1ノックアウト(KO)マウスを用いて、敗血症が骨格筋機能に与える影響を評価した。重症敗血症生存モデルを作成し、筋力を評価したところ、野生型(WT)マウスは筋力低下を示したが、PD-1 KOマウスでは筋力低下を示さなかった。さらに、その詳細を評価するとWTマウスでは敗血症後、PD-1 KOマウスに比べて特に遅筋関連遺伝子の発現が低下していた。次に敗血症を模したC2C12筋管細胞へのリポ多糖(LPS)処理では遅筋関連遺伝子の発現が有意に減少する一方、IL-13投与によって回復することがわかった。骨格筋ではT細胞ではなく2型自然リンパ球(ILC2)が主要なIL-13産生細胞で、敗血症PD-1 KOマウスではWTと比べてIL-13の産生量が増加していた。これらの結果から、敗血症におけるPD-1阻害は骨格筋ILC2由来のIL-13産生を増加させ、その結果筋力低下の抑制に寄与している可能性があり、本研究はICU-AWの病態理解/治療戦略の確立に大きく貢献することが期待される。
公表論文 Roles of programmed death-1 and muscle innate lymphoid cell-derived interleukin 13 in sepsis-induced intensive care unit-acquired weakness, Journal of Cachexia, Sarcopenia and Muscle, 2024 Jul 17. doi: 10.1002/jcsm.13548.