研究助成

2021年度 医学系研究助成(基礎)

核内受容体LXRによる肝臓マクロファージ制御機構の解明と非アルコール性脂肪性肝疾患への影響

研究題目 核内受容体LXRによる肝臓マクロファージ制御機構の解明と非アルコール性脂肪性肝疾患への影響
年度/助成プログラム 2021年度 医学系研究助成(基礎)
所属 日本大学医学部 生体機能医学系生化学分野
氏名 梅田 香織
キーワード 核内受容体 / LXR / 肝臓 / マクロファージ / 炎症
研究結果概要 非アルコール性脂肪肝炎の進展には、肝固有Kupffer細胞や骨髄由来マクロファージ等、肝臓マクロファージによる炎症制御が必須であり、予防及び治療戦略を見出す上で重要である。しかし、周辺微小環境等によりその組成や性質は複雑に変化するため、その制御メカニズムは不明な点が多い。肝臓X受容体(liver X receptor, LXR)α及びLXRβは体内でコレステロール代謝調節センサーとして働く核内受容体である。我々はLXRが肝臓に高発現することやマクロファージにおいて脂質代謝及び炎症応答を制御することに着目し、欠損マウスを用いて非アルコール性脂肪肝炎モデルの解析を行った。その結果、野生型と比較しLXRα/β欠損マウスは肝臓への顕著な免疫細胞浸潤を伴い早期に肝炎を発症した。免疫細胞を詳細に解析した結果、LXRα/β欠損において誘導マクロファージが顕著に増加し、機能変化することにより、リンパ球系等の周辺免疫細胞に作用し、肝炎を増悪させていることを見出した。以上、本研究によりLXRは肝臓免疫系細胞全体の恒常性維持に関与し、非アルコール性脂肪肝炎の病態を制御する重要な因子であることを見出した。
公表論文