研究助成

2021年度 医学系研究助成(がん領域(臨床))

マルチオミクスアプローチによる喉頭癌発症機序の解明

研究題目 マルチオミクスアプローチによる喉頭癌発症機序の解明
年度/助成プログラム 2021年度 医学系研究助成(がん領域(臨床))
所属 京都大学大学院・医学研究科 耳鼻咽喉科・頭頸部外科
氏名 岸本 曜
キーワード 喉頭癌 / 喫煙曝露モデル / ヒト初代培養細胞 / RNA-seq解析 / メチル化解析
研究結果概要 ラットおよびマウスで喉頭上皮の初代培養を試みたが、亜部位いずれも細胞生存率が低く、タバコ抽出液添加実験はヒト喉頭検体で行うことにした。咽頭喉頭癌患者の正常部位から上皮および線維芽細胞を分離培養した結果、免疫染色にてマーカー蛋白の高い発現を確認した。C57BL/6J雄マウスを用いたin vivo喫煙モデルでは、週5日、1日15本のタバコに1ヶ月または3ヶ月曝露した。上皮の形態学的評価では顕著な変化はなかったが、声門下の腺細胞の粘液多糖類産生の増加と、Ferrorange染色の増加が喫煙群で観察された。RNA-seqデータ解析では、亜部位および曝露の有無で層別化が見られた。喫煙による遺伝子発現の差を解析したところ、声帯での変動が最も大きく、CYP1A1などの毒物代謝酵素、酸化ストレスマーカーならびにNrf2、PPARγ、SLC7A11の発現が上昇していた。またRRBSによるDNAメチル化解析では、声門上が低メチル化、声帯が高メチル化を示し、がん遺伝子BRAFのメチル化部位の消失が声帯だけで確認された。
公表論文