研究助成

2021年度 医学系研究助成(がん領域(臨床))

前立腺癌における細胞間コミュニケーション機構を介した進展機序の解明とマイクロRNAステータスに基づいたリスク分類の樹立

研究題目 前立腺癌における細胞間コミュニケーション機構を介した進展機序の解明とマイクロRNAステータスに基づいたリスク分類の樹立
年度/助成プログラム 2021年度 医学系研究助成(がん領域(臨床))
所属 名古屋市立大学大学院医学研究科 腎・泌尿器科学分野
氏名 内木 拓
キーワード 去勢抵抗性前立腺癌 / 細胞間コミュニケーション / connexin43
研究結果概要 ホルモン療法抵抗性前立腺癌(CRPC)には抗がん剤が使用されるが、薬剤が細胞内に効率よく分布せず、効果が乏しくなる。Connexin43 (Cx43)によって構成されるGap junction (GJ)は、低分子物質を交通させ隣接細胞との連絡を維持し生体の恒常性を保持する。それゆえ、CRPCでGJが担う輸送機構が回復すれば、薬剤が細胞内に分布しやすくなる。今回私たちは動物モデルを用いた解析で、CRPCにおいてCx43の発現低下を認めることを初めて確認した。さらに、CRPC細胞株へCx43を安定導入することで、Cx43の発現上昇が、ホルモン療法下における細胞増殖低下を誘導することを証明した。そして、TCGAの癌ゲノムデータベースを用いたin silico解析によって、Cx43の発現低値群は発現高値群と比較し、有意に全生存率が悪化することを見いだした。今後は、新たに樹立したCx43の安定導入細胞株を用いて、マイクロRNA解析を行い、臨床応用にむけた研究を継続していく。
公表論文