研究助成
2021年度 医学系研究助成(がん領域(基礎))
微小炎症を発端とする乳腺発がんの包括的理解
研究題目 | 微小炎症を発端とする乳腺発がんの包括的理解 |
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年度/助成プログラム | 2021年度 医学系研究助成(がん領域(基礎)) |
所属 | 量子科学技術研究開発機構 放射線医学研究所 放射線影響予防研究部 |
氏名 | 飯塚 大輔 |
キーワード | 放射線発がん / 微小炎症 / 腸内細菌叢 / 細胞系譜追跡 |
研究結果概要 | がんは遺伝子異常が発端になると考えられてきたが、加齢に伴う肥満や動脈硬化症など、生体には様々な微小炎症を伴う全身性変化が生じることから、これとがんの起源細胞との相互作用を詳細に捉えることが求められている。そこで本研究では、全身性変化として放射線被ばくを用い、これまでに申請者らにより見いだされた、乳腺がん化の初期事象の一つと推測される興味深い分化異常を、微小炎症―腸内細菌叢を起点とした乳腺微小環境の変化の点から解析することを目的としている。この分化異常解析は細胞系譜追跡と呼ばれる幹細胞とその子孫細胞をマウス体内で識別できる実験手法を用い、基底細胞で発現するケラチン14を指標に蛍光タンパク質が発現する実験系で観察した。その結果、0.1 Gyという微量な放射線でも基底細胞が内腔細胞になることを見出した。また、被ばくによる腸内細菌叢の変化について、飼育環境の影響を検討したところ、SPF環境(高塩素水と滅菌飼料を摂取)では通常飼育環境下と異なる細菌叢の分布を示した。本研究は全身性変化と乳腺との相互作用から乳がんメカニズムの理解を促進し、メカニズムに基づく予防法の確立につながる事が期待される。 |
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