研究助成

2021年度 医学系研究助成(精神・神経・脳領域)

神経回路の再生阻害因子の探索とその制御

研究題目 神経回路の再生阻害因子の探索とその制御
年度/助成プログラム 2021年度 医学系研究助成(精神・神経・脳領域)
所属 国立精神・神経医療研究センター 神経研究所
氏名 村松 里衣子
キーワード 瘢痕 / 脊髄損傷 / 神経突起 / 脳 / 細胞増殖
研究結果概要 中枢神経傷害により様々な重篤な機能障害があらわれる。症状の改善を促すには、傷ついた神経回路を再生することが有望と考えられているが、個体発生期や末梢神経系と比較し、成体の中枢神経回路の再生は難しい。その原因の一つとして、損傷部位に形成される瘢痕と呼ばれる構造物が、神経回路の再生を阻むためと知られるが、瘢痕形成の機序にはまだ不明な点が残されている。本研究では瘢痕を構成する細胞集団の一部に着目し、損傷部位の環境変化と瘢痕形成の関連について検討した。その結果、損傷部位で認められる血管網の変化が瘢痕形成を促すことを脊髄損傷モデルマウスを用いた解析から見出し、さらにその機序を制御する分子メカニズムの一端を同定した。同定した機序に関する検討をヒトサンプルを用いて進め、見出した分子に対する応答性をヒト細胞が有する結果を得た。以上の結果は、神経回路の再生を阻む瘢痕形成のメカニズムを部分的に解明するもので、見出した機序は神経回路再生の促進のための分子標的になりうることを示唆する。
公表論文