研究助成

2021年度 医学系研究助成(臨床)

脱細胞化技術により創出したヒト人工羊膜を用いた難治性創傷治癒法の確立

研究題目 脱細胞化技術により創出したヒト人工羊膜を用いた難治性創傷治癒法の確立
年度/助成プログラム 2021年度 医学系研究助成(臨床)
所属 秋田県立大学 生物資源科学部 応用生物科学科
氏名 荒井 健一
キーワード 人工羊膜 / 難治性創傷 / Ⅲ度熱傷 / 組織工学 / 再生医療
研究結果概要  糖尿病患者がⅢ度熱傷を併発すると、創傷治癒機転が働かない為、感染症に陥りやすく、最悪の場合は創傷部位の切断又は死に至る。従って、傷口を感染症から防御し、創傷治癒を促進する被覆材、治療法が望ましい。  申請者は抗菌、抗炎症作用を有する羊膜という組織に着目した。羊膜は古くから抗炎症作用を有することが報告されているが、必要な時に入手が困難なことや、凍結保存をすると羊膜内の細胞の生存率が低下することが課題として挙げられる。又、羊膜由来間葉系細胞をⅢ度熱傷マウスに播種することで創傷治癒を促進することが出来たが、生着率が低いことが課題として挙がった。  そこで本研究では羊膜由来上皮、間葉系細胞をコラーゲン薄膜に接着させることで人工羊膜を作製し、Ⅲ度熱傷糖尿病モデルマウスの被覆材として用いることで創傷治癒効果を検証した。人工羊膜を構成する羊膜由来細胞は移植してから最長で14日間は生着しており、人工羊膜を被覆した方が、創の閉鎖が早く、肉芽組織形成能や血管新生、抗炎症作用も促進していた。以上のことより、人工羊膜はⅢ度熱傷糖尿病モデルマウスの創傷治癒を促進する被覆材であることが明らかになった。
公表論文 ① Transplanted artificial amnion membrane enhanced wound healing in third-degree burn injury diabetic mouse model, Regenerative Therapy, 2024 Dec, 27, 170-180. https://doi.org/10.1016/j.reth.2024.03.016 ② Importance of housekeeping gene optimization for the analysis of mRNA expression during wound healing in a third-degree burn injury model, J Burn Care Res, 2022, Oct 30;irac161. doi: 10.1093/jbcr/irac161.