研究助成

2021年度 医学系研究助成(がん領域(基礎))

REIC遺伝子発現アデノウイルスベクターによるEGFR肺がんに対する革新的腫瘍免疫療法の開発

研究題目 REIC遺伝子発現アデノウイルスベクターによるEGFR肺がんに対する革新的腫瘍免疫療法の開発
年度/助成プログラム 2021年度 医学系研究助成(がん領域(基礎))
所属 岡山大学病院 呼吸器・アレルギー内科
氏名 大橋 圭明
キーワード EGFR変異陽性肺癌 / REIC / 腫瘍免疫 / PD-1
研究結果概要 EGFR 変異を有する肺癌(EGFR肺癌)は、EGFR-TKIに奏効するが治癒することはない。さらに免疫チェックポイント阻害薬の効果が乏しい。申請者らは、EGFR肺癌の新規治療開発のため、免疫能が保持されたC57BL6の2型肺胞上皮特異的にEgfr変異を導入した肺癌マウスモデルを樹立した。また岡山大学で発見されたREIC遺伝子はがん細胞選択的に免疫原性細胞死を誘導し、腫瘍免疫を活性化する新規治療薬としてREIC遺伝子発現ベクターの臨床開発が進んでいる。本研究ではEGFR肺癌マウスモデルを用いて1.REIC遺伝子発現ベクター製剤がEGFR変異を有する肺癌に対する抗腫瘍免疫の活性化を誘導する、2.抗PD-1抗体の併用はREIC遺伝子発現ベクターとの抗腫瘍効果を増強するという仮説の検証を行った。結果として、REIC遺伝子発現ベクターは投与した腫瘍局所の抗腫瘍効果のみならず全身的な抗腫瘍免疫を誘導することが確認できた。またこれらの効果は抗PD-1抗体を併用することで増強された。抗腫瘍免疫治療が確立していないEGFR肺癌に対する新規免疫療法の臨床開発の礎となる基盤データを創成することができた。
公表論文 PD-1 blockade augments CD8+ T cell dependent antitumor immunity triggered by Ad-SGE-REIC in Egfr-mutant lung cancer. Nakasuka T, Ohashi K, Nishii K, Hirabae A, Okawa S, Tomonobu N, Takada K, Ando C, Watanabe H, Makimoto G, Ninomiya K, Fujii M, Kubo T, Ichihara E, Hotta K, Tabata M, Kumon H, Maeda Y, Kiura K. Lung Cancer. 2023 Apr;178:1-10. doi: 10.1016/j.lungcan.2023.01.018.