研究助成

2021年度 医学系研究助成(基礎)

発生エンハンサーによるヒト腎発生の機序解明

研究題目 発生エンハンサーによるヒト腎発生の機序解明
年度/助成プログラム 2021年度 医学系研究助成(基礎)
所属 東北大学 大学院 医学系研究科
氏名 笠原 朋子
キーワード ヒトiPS細胞 / 腎臓発生 / 加齢時計 / 生物学的年齢
研究結果概要 ヒトiPS細胞から腎臓への独自の分化過程においてトランスクリプトミクス時計を用いて生物学的年齢の変化を解析した。その結果、中間中胚葉前後に生物学的年齢が最小となる「Ground Zero」が存在することが明らかになった。この現象は発生過程において一時的な若返りが起きていることを示唆している。 また主成分分析により、発生初期過程では加齢関連遺伝子の発現を反映するPC1と初期化関連遺伝子の発現を反映するPC2の2つの過程から構成されていることが示唆された。さらに、老化関連経路の中には原始線条期で活性化されその後抑制されるものがあり、これらの経路が若返りに関与している可能性が示された。 本研究はヒト腎臓の発生過程における老化の始まりと若返りの存在を明らかにし、老化研究に新たな視点をもたらした。今後は他の組織細胞での検討や特異な老化過程を示すモデルでの解析により、老化メカニズムの詳細な解明と新たな抗老化戦略の開発に繋がることが期待される。
公表論文