研究助成

2021年度 医学系研究継続助成(がん領域(基礎))

全エクソン解析を用いた類内膜癌、明細胞癌の内膜症起源説に基づく発癌機序の解析

研究題目 全エクソン解析を用いた類内膜癌、明細胞癌の内膜症起源説に基づく発癌機序の解析
年度/助成プログラム 2021年度 医学系研究継続助成(がん領域(基礎))
所属 熊谷総合病院 婦人科
氏名 中村 康平
キーワード 内膜症 / 卵巣癌 / 発癌機序
研究結果概要 内膜症性嚢胞は卵巣癌の前駆病変とされている。最近の研究では、内膜症性嚢胞から発生する可能性のある卵巣明細胞癌・類内膜癌における発癌機序の解明が進められている。本研究では、次世代シーケンサーを用いた全エクソン解析により、卵巣癌の前駆病変である内膜症上皮細胞において、PIK3CA、KRAS、ARID1Aといったがんドライバー遺伝子変異がすでに認められることが確認された。さらに、様々なドライバー遺伝子変異を有する患者由来の内膜症オルガノイドを作成し、in vitro内膜症発癌モデルを構築した。これらのオルガノイドに対してCRISPR/Cas9を用いた遺伝子変異導入による細胞機能への影響を評価することで、これらの変異が子宮内膜症のがん化に関与する可能性が示唆された。また、Visiumを用いたトランスクリプトーム解析により、子宮内膜症上皮細胞と間質細胞の遺伝子発現特性が明らかにされ、新規マーカー遺伝子候補の同定にも繋がった。本研究は、子宮内膜症のがん化マーカーの探索及び卵巣癌の治療薬開発に貢献するものと期待される。
公表論文 Clinical predominance of whole-exome sequencing to evaluate microsatellite instability status. Cancer Sci. 2023 114(7): 2848-2859. Characterizing multi-PIK3CA mutations across cancer types: Toward precision oncology. Cancer Med. 2024 Jul;13(14):e70052. BRCA1/2 reversion mutations in a pan-cancer cohort. Cancer Sci. 2024 Feb;115(2):635-647.