研究助成

2021年度 医学系研究助成(基礎)

免疫系による新規脂肪代謝制御メカニズムの探索と解析

研究題目 免疫系による新規脂肪代謝制御メカニズムの探索と解析
年度/助成プログラム 2021年度 医学系研究助成(基礎)
所属 理化学研究所 生命医科学研究センター 免疫細胞システム研究チーム
氏名 三澤 拓馬
キーワード 絶食 / ケトン体 / ILC3 / 臓器連関 / 脂肪酸
研究結果概要 過栄養時に比べ、低栄養時における免疫系と代謝系の関わりはほとんど明らかになっていない。絶食によって体内の糖質レベルが低下すると、肝臓は脂肪酸を基質にケトン体と呼ばれる代謝産物を合成し、末梢のエネルギー源として分配する。先天的に特定の免疫細胞を欠損した複数の遺伝子改変マウスをスクリーニングした結果、小腸常在型の免疫細胞である3型自然リンパ球(Group 3 innate lymphoid cells; ILC3)がケトン体の合成制御において重要な役割を担うことが明らかとなった。これまで、免疫系と代謝系の関係は代謝系→免疫系という方向で捉えられてきたが、低栄養時には免疫系→代謝系という制御系が働くことでエネルギー不足への速やかな適応を可能にする。これは免疫学や代謝学の概念を拡大するという点において重要な発見だと言える。今後の解析を通じて、ILC3を介したケトン体合成制御機構の全容解明を目指したい。
公表論文