研究助成

2021年度 医学系研究助成(がん領域(臨床))

抗原提示性癌関連線維芽細胞が腫瘍免疫に及ぼす影響の解析と大腸癌免疫治療への応用

研究題目 抗原提示性癌関連線維芽細胞が腫瘍免疫に及ぼす影響の解析と大腸癌免疫治療への応用
年度/助成プログラム 2021年度 医学系研究助成(がん領域(臨床))
所属 大阪公立大学大学院臨床医科学専攻 消化器外科
氏名 笠島 裕明
キーワード 大腸癌 / 微小環境 / 腫瘍免疫 / 線維芽細胞
研究結果概要 【目的】新たなCAFのsubpopulationとして抗原提示能を持つCAF (Antigen-presenting CAF; apCAF)が報告されている。本研究の目的はapCAFによる腫瘍免疫応答調節を介した癌免疫療法治療抵抗性メカニズムの解明することである。 【方法】ヒト大腸癌組織標本を用いたapCAFマーカーによる免疫組織学的染色、大腸癌間質におけるapCAFマーカー発現の解析、apCAFの由来と報告されている中皮細胞におけるapCAFマーカー発現量の解析を行った。 【結果】癌間質細胞apCAFマーカー陽性症例において陰性症例と比較し有意に無再発生存期間が不良であった。癌間質部分から分離培養された線維芽細胞においてapCAFマーカーは正常部に比較し上昇しており、肝転移巣ではさらに上昇していた。さらにヒト大腸癌患者から樹立された中皮細胞では、抗原提示マーカーの発現が上昇していた。線維芽細胞における抗原提示能が腫瘍免疫及び腫瘍進展に関与していることを示唆しており、癌細胞―間質線維芽細胞相互作用がapCAFを介して腫瘍免疫を制御している可能性へとつながると考えられた。
公表論文 The heterogeneity of cancer-associated fibroblast subpopulations: Their origins, biomarkers, and roles in the tumor microenvironment. Yamamoto Y, Kasashima H, Fukui Y, Tsujio G, Yashiro M, Maeda K. Cancer Sci. 2023 Jan;114(1):16-24. doi: 10.1111/cas.15609. Epub 2022 Oct 19. PMID: 36197901