研究助成

2021年度 医学系研究助成(基礎)

減数分裂の抑制とその解除のメカニズムの解明

研究題目 減数分裂の抑制とその解除のメカニズムの解明
年度/助成プログラム 2021年度 医学系研究助成(基礎)
所属 埼玉医科大学 医学部 ゲノム基礎医学 奥田研究グループ
氏名 鈴木 歩
キーワード Max / 減数分裂 / 生殖細胞 / 哺乳類
研究結果概要 我々はこれまでに、MYCのパートナー因子であるMAXが、PRC1.6複合体を介して減数分裂遺伝子の抑制に関与することを世界で初めてES細胞の系で明らかにしてきた。本研究では、減数分裂開始におけるMAXの役割を明らかにするため、生殖細胞特異的にMaxを欠損させたマウスを作製し解析を行った。その結果、性分化前の始原生殖細胞でMaxを欠損させると、雄雌ともに減数分裂関連遺伝子の発現が上昇したことから、MAXが生体内においても減数分裂開始を制御する因子であることが明らかになった。一方、Maxを欠損した生殖細胞は減数分裂の初期で停止し、最終的にアポトーシスにより消失した。また、正常な雌の生殖細胞では、減数分裂開始に先立ってMAXタンパク質が顕著に減少することが明らかになった。さらに、多能性細胞特異的なMax遺伝子の高発現を維持する制御領域を同定した。以上の結果から、MAXは生殖細胞の性分化前から高発現することで、減数分裂関連遺伝子を抑制しており、その後、雌の生殖細胞ではMAXの発現低下を契機として、タイミングよく減数分裂が開始されるという新しいメカニズムが明らかになった。
公表論文 MAX controls meiotic entry in sexually undifferentiated germ cells. Scientific Reports 2024 Mar 4;14(1):5236. doi: 10.1038/s41598-024-55506-7.