研究助成

2021年度 医学系研究助成(臨床)

小児期発症の潰瘍性大腸炎および類似疾患における特異的自己抗体・自己抗原の同定

研究題目 小児期発症の潰瘍性大腸炎および類似疾患における特異的自己抗体・自己抗原の同定
年度/助成プログラム 2021年度 医学系研究助成(臨床)
所属 京都大学医学部附属病院 発達小児科学
氏名 日衛嶋 栄太郎
キーワード 小児潰瘍性大腸炎 / 小児クローン病 / 抗Integrinαvβ6自己抗体 / 診断 / バイオマーカー
研究結果概要 申請者は多施設より収集した小児潰瘍性大腸炎(UC)患者の血清中における抗Integrinαvβ6自己抗体(抗V6抗体)の解析を行ったところ、同抗体は高い感度(94.7%)・特異度(81.3%)で検出されることが明らかとなり、同抗体の測定が小児UCの診断における非侵襲的かつ疾患特異的な検査として有用と考えられた。 一方で、小児のクローン病(CD)は成人CD患者とは異なり、32%の患者で抗V6抗体が陽性であった。UC或いはCDに典型的な内視鏡所見をスコア化し、抗V6抗体陽性群と抗体陰性群で比較したところ、抗V6抗体陽性CDはUC類似の大腸病変を有する症例が多いことが明らかとなった(3.23 vs 0.61, p<0.001)。CDに典型的な内視鏡所見は抗V6抗体陰性CDで多く認められた(2.00 vs 3.02 p<0.001)。更に、小児CD患者のうち、「過去にUCからCDに診断が変更になったことのある患者」の抗V6抗体価は「診断変更のないCD患者」と比較して高値であった(p=0.033)。小児CDの臨床像は抗V6抗体陽性と陰性で層別化される可能性があると考えられた。
公表論文 Anti-Integrin αvβ6 Antibody as a Diagnostic Marker for Pediatric Patients With Ulcerative Colitis.   Gastroenterology  2022,163:1094-1097