研究助成

2021年度 医学系研究助成(精神・神経・脳領域)

シングルセルRNA seqとATAC seqを用いた球脊髄性筋萎縮症の早期病態の解明

研究題目 シングルセルRNA seqとATAC seqを用いた球脊髄性筋萎縮症の早期病態の解明
年度/助成プログラム 2021年度 医学系研究助成(精神・神経・脳領域)
所属 名古屋大学大学院医学系研究科 神経内科学
氏名 飯田 円
キーワード 球脊髄性筋萎縮症 / シングルセルRNA-seq / 超早期病態 / オリゴデンドロサイト
研究結果概要 運動ニューロン疾患は運動ニューロンの変性により進行性の筋力低下をきたす難病である。SBMAはAR遺伝子におけるCAGリピートの異常伸長により運動ニューロン変性を呈する。変異ARが運動ニューロンや骨格筋細胞の核内に蓄積し、転写障害を惹起することが病態の中心と考えられているが、詳細な分子メカニズムは明らかになっていない。申請者らは発症前から進行期の4つの病期においてSBMAマウスモデルの脊髄を用いたシングルセル解析を行った。その結果、発症前からオリゴデンドロサイトの遺伝子発現変化が他の細胞よりも顕著であり、SBMAの初期病態においてオリゴデンドロサイトが重要な役割を果たしていること、およびSBMAのオリゴデンドロサイトにて発症前からイオンチャネル活性やシナプスの機能が上昇しており、ニューロンに向けて出力するシグナルのうち、細胞接着やシナプス機能に関するシグナル伝達が上昇していることを見出した。またオリゴデンドロサイトとニューロンの共培養系を用いたカルシウムイメージングでは、オリゴデンドロサイトにおける変異ARがニューロンの活動性に影響を与えることが明らかとなった。
公表論文