研究助成

2021年度 薬学系研究助成

新たな創薬ケミカルスペースの開拓を指向したスピロ環状ペプチドテンプレートの開発

研究題目 新たな創薬ケミカルスペースの開拓を指向したスピロ環状ペプチドテンプレートの開発
年度/助成プログラム 2021年度 薬学系研究助成
所属 京都大学 大学院薬学研究科
氏名 井貫 晋輔
キーワード ペプチド医薬 / ペプチドテンプレート / スピロ環状ペプチド / 1,5-水素移動反応 / C-H結合官能基化反応
研究結果概要 ペプチド医薬は、低分子医薬・抗体医薬の中間の特徴を有するモダリティとして注目されている。ペプチドは、主鎖のテンプレートとアミノ酸側鎖の組み合わせから生じる多様な三次元構造を活かして、標的に対する高度な特異性を創出可能である。このような背景のもと、これまでに環状ペプチドを中心に多様なペプチドテンプレートが開発されてきた。 本研究では、放線菌由来のランチペプチドに見出されるスピロ環状ペプチドに着目し、本構造を新たなペプチドテンプレートとして活用するために、スピロ環状構造の鍵構造の合成法の確立を行った。具体的には、容易に入手可能なトリス(ヒドロキシメチル)アミノメタン(Tris)を出発原料として、選択的な遠隔位C-H結合官能基化反応によりスピロ中心となる4級不斉炭素の構築を計画した。Trisから誘導した鍵反応前駆体に対して、種々の反応条件を用いて検討を行った。その結果、1,5-水素移動反応による位置選択的なC-H結合官能基化が進行し、立体選択的に望みの構造を得ることができた。本手法は、官能基が密集する中で進行する反応であるため、様々なアミノ酸構造を含む関連誘導体の合成にも応用が可能である。
公表論文 Synthesis of Labionin and Avionin Precursors via Nitrogen-centred-radical-triggered 1,5-HAT Reaction of Tris Derivatives. Org. Biomol. Chem. 2024, 22, 2049–2055.