研究助成

2021年度 ハイリスク新興感染症研究助成

新型コロナウイルス感染症における血管病変を中心とした重症化メカニズムの解明と新規バイオマーカーによる治療戦略の樹立

研究題目 新型コロナウイルス感染症における血管病変を中心とした重症化メカニズムの解明と新規バイオマーカーによる治療戦略の樹立
年度/助成プログラム 2021年度 ハイリスク新興感染症研究助成
所属 千葉大学 大学院医学研究院国際アレルギー粘膜免疫学
氏名 岩村 千秋
キーワード COVID-19 / Myl9 / 血栓 / 1型インターフェロン / 自己抗体
研究結果概要 武田科学振興財団から助成金により、申請者は2つのCOVID-19重症化メカニズムを明らかにすることができました。1つ目ではSARS-CoV-2が血管壁に感染し、その修復のために誘導される免疫応答が、肺血栓形成を引き起こすことを明らかにしました。肺血栓には血小板由来のMyl9というタンパク質が含まれており、COVID-19の新規治療標的となりうる可能性が示唆されました。また血中のMyl9濃度はCOVID-19の重症度判定に有用であることがわかりました。  2つめは重症COVID-19患者の10%が1型インターフェロンに対する自己抗体を持っていることを明らかにしました。1型インターフェロンはウイルス感染時において抗ウイルス反応を起こす重要なサイトカインです。このサイトカインが自己抗体によって中和されると、適正な免疫応答を起こすことができないため、COVID-19患者は重症化にいたると考えられます。  この度は私たちの研究にご支援くださった武田科学振興財団に、深く御礼を申し上げます。
公表論文 Elevated Myl9 reflects the Myl9-containing microthrombi in SARS-CoV-2-induced lung exudative vasculitis and predicts COVID-19 severity. Proc Natl Acad Sci U S A. 2022;119(33):e2203437119. doi: 10.1073/pnas.2203437119 Suppression of Type I Interferon Signaling in Myeloid Cells by Autoantibodies in Severe COVID-19 Patients. J Clin Immunol. 2024;44(4):104. doi: 10.1007/s10875-024-01708-7.