研究助成
2022年度 生命科学研究助成
Na+,K+-ATPaseの能動輸送と神経変性疾患における生体膜の役割の構造生物学的研究
研究題目 | Na+,K+-ATPaseの能動輸送と神経変性疾患における生体膜の役割の構造生物学的研究 |
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年度/助成プログラム | 2022年度 生命科学研究助成 |
所属 | 東京大学 定量生命科学研究所 膜蛋白質解析研究分野 |
氏名 | 金井 隆太 |
キーワード | Na+,K+-ATPase / イオンポンプ / 神経変性 / 脂質二重膜 |
研究結果概要 | Na+,K+-ATPase (NKA)はATPの加水分解エネルギーを利用して、神経の電気信号に重要な細胞内外のNa+とK+の濃度差を形成するイオンポンプである。NKAは生体内で産生されるATPのおよそ50%を消費すると言われ、近年、その異常は神経変性や生活習慣病と深く関わることが分かってきた。本研究はNKAが正常に動作する仕組み、特に学問的理解の進んでいない脂質二重膜との関わりに注目し、NKAがイオンを能動輸送する上でどのように脂質二重膜を利用しているのかを構造的に明らかにすることを目的とした。そこで、通常の構造解析では無視される脂質二重膜の可視化のために、X線溶媒コントラスト変調法を用いたNKAの結晶構造解析のほか、ナノディスクに再構成したNKAのクライオ電子顕微鏡単粒子解析を行った。その結果、いずれの方法でも膜の可視化に成功し、NKAがその機能のために巧みに脂質二重膜を利用している様子が見えてきた。すなわち、NKAは蛋白質内の構造変化のみならず、脂質二重膜に対する分子の傾きを変えることで細胞外から取り込んだK+を細胞質側へ、細胞内Na+を細胞外側へと輸送することが分かってきた。 |
公表論文 | Crystal structures of Na+ ,K+ -ATPase reveal the mechanism that converts the K+ -bound form to Na+ -bound form and opens and closes the cytoplasmic gate. FEBS Letters. (2023) 597(15):1957-1976. |
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