研究助成

2022年度 生命科学研究助成

内在2本鎖RNAの自己化に不可欠なイノシン化修飾機構の解明

研究題目 内在2本鎖RNAの自己化に不可欠なイノシン化修飾機構の解明
年度/助成プログラム 2022年度 生命科学研究助成
所属 大阪大学 大学院医学系研究科 神経遺伝子学
氏名 河原 行郎
キーワード RNA編集 / ADAR1 / MDA5 / イノシン / 2本鎖RNA
研究結果概要 イノシンは、mRNA中に豊富に存在している修飾塩基の1つであり、ADARと呼ばれるRNA編集酵素が、アデノシンを脱アミノ化することで挿入される。哺乳類においては、ADAR1p110、ADAR1p150とADAR2の3種類の活性型ADARが発現し、いずれも2本鎖RNAを標的とする。先行研究により、イノシン化は、2本鎖RNAの自己化に必須であり、RNA編集が障害されると自然免疫が異常活性化する。しかし、この機能はADAR1p150を介したRNA編集だけにあり、他のADARとの基質選択性の違いが十分分かっていない。本研究では、これまでに樹立した様々なADAR1やADAR2遺伝子改変マウスや培養細胞を用いて、ADAR1p150特異的なRNA編集部位を同定することに成功した。その1つとしてAZIN1遺伝子のコード領域に着目し、このRNA編集には、スプライシング後の2つのエクソン間で形成される2本鎖RNA構造が必須であり、細胞質局在型のADAR1p150のみがRNA編集できる機構を解明した。
公表論文 1) The RNA-editing enzyme ADAR1: a regulatory hub that tunes multiple dsRNA-sensing pathways. International Immunology, 35(3): 123-133, 2023.
2) RNA editing of AZIN1 coding sites is catalyzed by ADAR1 p150 after splicing. Journal of Biological Chemistry, 299(7), 104840, 2023.