研究助成

2022年度 生命科学研究助成

Raf様キナーゼによる新規光合成シグナル伝達機構の研究

研究題目 Raf様キナーゼによる新規光合成シグナル伝達機構の研究
年度/助成プログラム 2022年度 生命科学研究助成
所属 東京理科大学 理工学部応用生物科学科
氏名 西浜 竜一
キーワード Raf様キナーゼ / ゼニゴケ / 液−液相分離 / 翻訳 / スクロース代謝
研究結果概要 光合成信号伝達因子であるRaf様キナーゼPRAFの機能を解明する研究に取り組んでいる。praf変異体はスクロース代謝に異常があり、成長が阻害される。変異体を用いたリン酸化プロテオーム解析を複数回行い、翻訳開始因子4E結合モチーフを持つ4EBPや、スクロース合成酵素SPSなどを同定した。In vitro kinase assayにより、PRAFがこれらを直接リン酸化することを見出した。また、TurboIDおよびAPEX法による近位標識によりPRAF相互作用タンパク質およびmRNAの同定を行なっている。さらにPRAFは、光合成刺激を受けることで、おそらく酸化シグナルにより液-液相分離を引き起こし、顆粒構造を形成することを明らかにした。その他、本研究に関連した共同研究で、PRAFが高速オーキシン応答に関与すること(Cell, 2024)、細胞膜プロトンポンプが光合成依存的なリン酸化によっても活性化されること(Nat Commun, 2024)、ゼニゴケの葉緑体定位運動に関わるキネシン(Plant Cell Physiol, 2024)について報告した。
公表論文 ・RAF-like protein kinases mediate a deeply conserved, rapid auxin response. Cell, 187, 130-148. (2024).
・Light-induced stomatal opening requires phosphorylation of the C-terminal autoinhibitory domain of plasma membrane H(+)-ATPase. Nat. Commun., 15, 1195. (2024).
・A kinesin-like protein, KAC, is required for light-induced and actin-based chloroplast movement in Marchantia polymorpha. Plant Cell Physiol., 65, 1787-1800. (2024).