研究助成
2022年度 生命科学研究助成
脂肪滴による核内蛋白質機能制御機構の解明
| 研究題目 | 脂肪滴による核内蛋白質機能制御機構の解明 |
|---|---|
| 年度/助成プログラム | 2022年度 生命科学研究助成 |
| 所属 | 北海道公立大学法人札幌医科大学 医学部 解剖学第一講座 |
| 氏名 | 大﨑 雄樹 |
| キーワード | 核内脂肪滴 / PML小体 / 中性脂質 / 蛋白質分解 |
| 研究結果概要 | 中性脂質（トリアシルグリセロール; TAG、コレステロールエステル; CE）をリン脂質一重膜が覆う脂肪滴 (Lipid droplet; LD)は、細胞質ではエネルギーの貯蔵と供給、脂質合成、蛋白質分解、病原体増殖などに関与する。本研究課題では機能が未知である核内LDが、核内蛋白質の修飾・分解・機能制御に関与するかどうかの立証を主題とする。本課題の目的のひとつ、核内LD局在分子の網羅的解析については、核画分の精製度向上に当初の予想より時間がかかっており、継続中である。先行して、核内LDと共存する核内構造体であるPML小体への局在が既知であった分子のうち、DNA鎖間架橋修復系のFANC蛋白質群の一部が、DNA損傷とは独立して脂肪酸依存性に核内LDに局在することを見出した。また、細胞内凝集を形成する分子のうち、TDP-43がPML小体および核内LDに局在することを見出した。他方、ヒト肝疾患患者の肝生検試料の電子顕微鏡解析の結果、肝細胞内の核内LDは患者の約70%で認められた。さらに既知の肝細胞核内での凝集体、グリコゲン顆粒蓄積と、核内LD形成とは相関関係がないことを明らかにした。 |
| 公表論文 |
Pathological significance of intranuclear structures in liver biopsy samples. Hepatology Research 2025 May 10. doi: 10.1111/hepr.14195. Online ahead of print. Imai N, Ohsaki Y, Cheng J, Kawecka H, Zhang J, Mizuno F, Tanaka T, Yokoyama S, Yamamoto K, Ito T, Ishizu Y, Honda T, Ishikawa T, Woźniak M, Wake H, Kawashima H. |