研究助成

2022年度 生命科学研究助成

膜脂質存在下の膜タンパク質の構造創薬研究

研究題目 膜脂質存在下の膜タンパク質の構造創薬研究
年度/助成プログラム 2022年度 生命科学研究助成
所属 名古屋大学 細胞生理学研究センター 細胞生理学研究部門
氏名 大嶋 篤典
キーワード クライオ電子顕微鏡 / ラージポアチャネル / ナノディスク再構成
研究結果概要 ATP放出チャネルとして知られるパネキシンの脂質膜存在下における構造研究を行った。ヒトパネキシン1(Panx1)を精製したのち、リポソーム膜に再構成してクライオ電子顕微鏡で観察した試料では、明瞭なチャネルのコントラストを得られなかった。そこで方針を変更し、脂質膜存在下での構造解析の報告のないヒトパネキシン3(Panx3)のナノディスク再構成を行い、その試料のクライオ電子顕微鏡構造解析を行った。野生型のPanx3をPOPC、MSP2N2を用いたナノディスクに再構成し、クライオ電子顕微鏡単粒子解析によって、2.95Å分解能で構造を決定した。チャネル孔の内側にチャネルポアを塞ぐ二重の密度が観察され、クローズ状態を示唆するものであった。共同研究による電気生理学実験ではPanx3の野生型の活性は測定できず、構造解析との相関がみられたが、Panx3が細胞膜表面に移行していることの確認はできなかった。Panx1の構造解析の結果と比較すると、Panx3も脂質分子を利用した開閉機構を採用している可能性を示唆するものであった。
公表論文