研究助成

2022年度 生命科学研究助成

がんの化学療法耐性を規定するエピゲノム変容の解明

研究題目 がんの化学療法耐性を規定するエピゲノム変容の解明
年度/助成プログラム 2022年度 生命科学研究助成
所属 東京医科歯科大学 難治疾患研究所 生体防御学分野
氏名 佐藤 卓
キーワード がん / パーシスタンス / 化学療法剤 / オルガノイド
研究結果概要 化学療法剤は、がん治療で最も一般的に用いられる殺細胞性抗がん剤である。しかし治療後も、ごく一部のがん細胞が「微小遺残腫瘍」として生き残り、長期間を経て遺伝子変異を蓄積し、再発に至ることがある。治癒を目指すには、こうした残存細胞の発生機構を解明し、排除することが重要である。抗がん剤の強いストレス下でも一部の細胞が一過的に耐性状態となり生存する現象は「パーシスタンス」と呼ばれ、再発の原因となる。本研究では、申請者らが樹立した患者由来がんオルガノイドライブラリーを用い、化学療法剤処理後のパーシスター細胞の出現しやすさを規定する分子基盤を解析した。特に、症例間の表現型−遺伝子型相関から、オートファジー経路や抗酸化応答の関与を明らかにし、論文報告した。
公表論文 Comparative analysis of tongue cancer organoids among patients identifies the heritable nature of minimal residual disease. Dev Cell. 2025 Feb 3;60(3):396-413.e6. doi: 10.1016/j.devcel.2024.10.007.

An organoid library of human esophageal squamous cell carcinomas (ESCCs) uncovers the chemotherapy-resistant ESCC features. Commun Biol. 2025 Apr 1;8(1):507. doi: 10.1038/s42003-025-07869-4.