研究助成

2022年度 ライフサイエンス研究助成

ファンコニ貧血発症を制御するユビキチン化分子ネットワークの解明

研究題目 ファンコニ貧血発症を制御するユビキチン化分子ネットワークの解明
年度/助成プログラム 2022年度 ライフサイエンス研究助成
所属 京都大学 大学院生命科学研究科附属放射線生物研究センター 晩発効果研究部門
氏名 勝木 陽子
キーワード ファンコニ貧血 / DNAクロスリンク修復 / SLX4 / ユビキチン経路
研究結果概要 本研究では、SLX4集積を制御するユビキチン化分子ネットワークを明らかにすることを目的として研究を進めている。まずSLX4のN末端に結合する分子を同定するため、SLX4-NのN末に高活性型ビオチン化酵素TurboIDを付加して近位依存性ビオチン標識法(BioID)を実施した。その結果FANCIやFANCJ等のFA経路因子や、RNF169やBRCA1など相同組換えを促進する因子と非常に近位に局在することが明らかになった。siRNAスクリーニングとBioIDで共通してヒットしたARID1Aについて、SLX4との共免疫沈降や、ノックダウンによるDNA架橋剤であるシスプラチンへの感受性試験を行ったが、UBZ4依存性の会合は認められず、ARID1AをノックダウンしたHAP1細胞ではシスプラチン感受性を示さなかった。したがってARID1Aはユビキチン化依存的にSLX4-UBZ4に結合する因子ではないと考えられたが、ICL損傷の修復経路の選択を制御する可能性が示唆され、現在解析を続けている。TRIP12などSLX4の集積を負に制御する可能性のある因子についても解析を進めている。
公表論文