研究助成

2022年度 ライフサイエンス研究助成

全身性カルシウム恒常性調節メカニズムの追究:個体形状変化をモデル系とした研究

研究題目 全身性カルシウム恒常性調節メカニズムの追究:個体形状変化をモデル系とした研究
年度/助成プログラム 2022年度 ライフサイエンス研究助成
所属 筑波大学 生存ダイナミクス研究センター(TARA)生理ダイナミクス
氏名 岡本 直樹
キーワード カルシウム / ペプチドホルモン / ショウジョウバエ / 恒常性
研究結果概要 カルシウムは、生命活動の根幹を支える必須ミネラルの1つである。多細胞動物において、カルシウムの恒常性は厳密に制御されており、逆にその破綻は様々な疾患につながる。脊椎動物のカルシウム恒常性は、カルシウム貯蔵庫である骨を中心とした内分泌システムによって厳密に調節されることが知られる。一方、昆虫をはじめとする陸上性の無脊椎動物においては、数多くのカルシウム依存的な生理現象が脊椎動物と共通であるにも関わらず、カルシウム恒常性を調節する内分泌機構はほとんど明らかになっていない。そこで本研究では、遺伝学的手法に長けたキイロショウジョウバエを用いて、カルシウム恒常性を調節するホルモンの探索に取り組んだ。遺伝学的スクリーニングを行った結果、カルシウム調節に関わるペプチドホルモン(仮称:Calcium-regulatory hormone:CRH)を発見した。CRHは、ショウジョウバエのカルシウム貯蔵器官で発現する受容体に直接作用し、体液中にカルシウムを動員することが明らかになった。本研究成果は、骨の存在しない無脊椎動物におけるカルシウム調節機構の謎に迫る極めて重要な成果として、現在、論文投稿中である。
公表論文