研究助成

2022年度 ライフサイエンス研究助成

植物における腋生幹細胞創生の光制御

研究題目 植物における腋生幹細胞創生の光制御
年度/助成プログラム 2022年度 ライフサイエンス研究助成
所属 広島大学 大学院統合生命科学研究科(生物生産学部) 応用分子細胞生物学
氏名 田中 若奈
キーワード 植物 / イネ / 光 / ブランチ形成 / 腋生幹細胞
研究結果概要 植物のブランチ形成は光環境に応答して制御されていることが知られている。ブランチ形成は腋生幹細胞創生と、その後の腋生シュート伸長という2つの過程から成り立っており、後者の過程が光の強度や質に応答して制御されていることが知られているが、前者の過程と光環境との関係については未解明であった。本研究では、光環境に応答した腋生幹細胞の創生機構を明らかにすることを目的とした。加えて、未だ理解の乏しい植物の遺伝的要因に応じた腋生幹細胞の創生機構の解明も目指した。
様々な光条件下における腋生幹細胞創生の表現型解析を実施した結果、ある光条件が腋生幹細胞の創生に影響を与えることを明らかにした。その光条件がどのような分子メカニズムで腋生幹細胞の創生を制御するのかについて解析した結果、既知のブランチ制御因子が関与している可能性が示唆された。
腋生幹細胞創生を制御する新たな因子の単離を目指して研究を実施した結果、FINE CULM1 遺伝子を同定した。この遺伝子は、腋生幹細胞領域の細胞分裂活性を緩やかに抑制することによって、その創生を負に制御していることが示唆された。
公表論文 FINE CULM1 encoding a TEOSINTE BRANCHED1-like TCP transcription factor negatively regulates axillary meristem formation in rice, Plant and Cell Physiology, 65(11):1862-1872 (2024).