研究助成

2022年度 ライフサイエンス研究助成

正確な染色体分配を支えるキネトコア複合体の構造と制御の解明

研究題目 正確な染色体分配を支えるキネトコア複合体の構造と制御の解明
年度/助成プログラム 2022年度 ライフサイエンス研究助成
所属 大阪大学 生命機能研究科 染色体生物学研究室
氏名 原 昌稔
キーワード 染色体分配 / キネトコア / セントロメア
研究結果概要 染色体上のセントロメアクロマチン領域に形成されるキネトコアは、分裂期の染色体分配に際して必須な役割を果たすタンパク質複合体である。そのため、キネトコア複合体の制御や機能を明らかにすることは、正確な遺伝情報の伝達の分子機構を理解するために必須である。本研究では、キネトコア複合体構造制御やその機能を明らかにするために、キネトコアタンパク質CENP-Cに着目して解析を行った。その結果、これまで二量体を形成すると考えられていた脊椎動物のCENP-Cが、自己多量体化することを見出した。また、そのCENP-Cの多量体化が、セントロメア上でのキネトコア複合体の形成と機能に必須であることを明らかにした。さらに、3Dゲノム解析および超解像顕微鏡解析により、CENP-Cの多量体化がセントロメアクロマチン構造形成に関与することが示唆された。これらの結果は、従来の解析で見落とされてきた、CENP-Cの多量体化を介した機能を提示し、染色体分配機構の理解という基礎生物学的な問題に答えるだけでなく、染色体不安定性に起因する疾病の予見や治療法の開発への分子基礎の確立に貢献すると期待できる。
公表論文 Molecular details and phospho-regulation of the CENP-T-Mis12 complex interaction during mitosis in DT40 cells. iScience, (2024) 27(12):111295.
CENP-C-Mis12 complex establishes a regulatory loop through Aurora B for chromosome segregation. Life Sci Alliance, (2024) 8(1):e202402927
Centromere/kinetochore is assembled through CENP-C oligomerization. Mol. Cell, (2023). 83(13):2188-2205.e13.