研究助成

2022年度 医学系研究助成(臨床)

ALDH2遺伝子と心房細動再発との関連:心房細動患者における新たなテーラーメイド治療の可能性についての検討

研究題目 ALDH2遺伝子と心房細動再発との関連:心房細動患者における新たなテーラーメイド治療の可能性についての検討
年度/助成プログラム 2022年度 医学系研究助成(臨床)
所属 熊本大学病院 循環器内科
氏名 星山 禎
キーワード 心房細動 / カテーテルアブレーション
研究結果概要 飲酒習慣は心房細動のリスク因子であり、アルデヒドデヒドロゲナーゼ2(ALDH2)によって代謝される。ALDH2遺伝子変異保有者は東アジア人に特に多く存在し、その酵素活性低下によるアルコール代謝不全により、飲酒習慣を伴うと心房細動発症リスクが増加することが判明している。しかしながら心房細動に対する根治術であるカテーテルアブレーション後の再発との関連は明らかでなかった。これに対し本研究は心房細動に対するカテーテルアブレーション術後371名を対象にALDH2遺伝子型および飲酒習慣の有無により4群に分類し一年間の追跡で再発の有無の評価を検討した。しかしながら、カプランマイヤー解析においてALDH2遺伝子変異保有者でかつ飲酒習慣のある群は4群の中で最も再発リスクが高いことが判明し、多変量解析においても再発の独立したリスク因子であり、飲酒習慣のある野生型ALDH2遺伝子保有者よりも高リスクであることが判明した。以上より、特にALDH2遺伝子変異保有者は節酒指導をより強固に行うことで再発リスクを軽減する可能性、即ち遺伝子情報をベースにしたテーラーメード治療の可能性を証明することができた。
公表論文 ・Association Between ALDH2 Genotypes and Atrial Fibrillation Recurrence Following Catheter Ablation: Prospective Multicenter Cohort Study. Circulation: Arrhythmia and Electrophysiology. 2025;18:e013433.
・Impact of the transseptal puncture location on the fossa ovalis on first-pass pulmonary vein isolation. heart Rhythm. 2024. Online ahead of print.