研究助成

2022年度 医学系研究助成(感染領域)

シス受容体が解明する麻疹ウイルス中枢神経病原性発揮メカニズム

研究題目 シス受容体が解明する麻疹ウイルス中枢神経病原性発揮メカニズム
年度/助成プログラム 2022年度 医学系研究助成(感染領域)
所属 九州大学 大学院医学研究院病態制御学講座ウイルス学
氏名 白銀 勇太
キーワード 麻疹ウイルス / シス受容体 / 膜融合 / 融合遺伝子 / 進化
研究結果概要 麻疹ウイルス(MeV)はまれに脳に持続感染し、致死性の亜急性硬化性全脳炎(SSPE)を引き起こす。申請者らの同定したMeVの神経増殖に必須の宿主シス受容体CADM1/2分子とMeV受容体結合タンパク質Hの相互作用解析を実施したところ、Hストーク領域の一部の領域がCADM1/2の利用に必須であることが明らかとなった。また、同領域をアラニン置換することで、CADM1/2の利用能欠損組換えMeVの作製にも成功し、同ウイルスの病原性についてハムスターモデルを用いて解析することで、CADM1/2利用能がMeV神経病原性に必須の宿主因子であることを明らかにした。また、SSPE由来MeVにみられるF遺伝子の変異の解析も進め、神経細胞内では異なるゲノムにコードされる変異Fタンパク質同士が機能的に相互作用して総合的な神経増殖能が規定されていること、SSPE分離株ではFに複数の変異が蓄積することでCADM1/2以外の宿主因子の利用も可能になり、さらに神経病原性が高まっていることが明らかとなった。
公表論文 Collective fusion activity determines neurotropism of an en bloc transmitted enveloped virus. Sci Adv. 2023 Jan 27;9(4):eadf3731. doi: 10.1126/sciadv.adf3731.

Interaction of the Hemagglutinin Stalk Region with Cell Adhesion Molecule (CADM) 1 and CADM2 Mediates the Spread between Neurons and Neuropathogenicity of Measles Virus with a Hyperfusogenic Fusion Protein. J Virol. 2023 May 31;97(5):e0034023. doi: 10.1128/jvi.00340-23.

Amino acid changes accumulated in the fusion protein allow neuropathogenic measles viruses to use a broad repertoire of host factors for cell fusion triggering. J Virol. 2025 Apr 7:e0230724. doi: 10.1128/jvi.02307-24.