研究助成

2022年度 医学系研究助成(基礎)

自己免疫疾患における酸性フォスファターゼの役割

研究題目 自己免疫疾患における酸性フォスファターゼの役割
年度/助成プログラム 2022年度 医学系研究助成(基礎)
所属 東京大学医科学研究所 感染遺伝学分野
氏名 佐藤 亮太
キーワード TLR / ACP / マクロファージ
研究結果概要 核酸特異的TLRの機能に必須のシャペロンであるUnc93B1を欠損させると肝脾腫は消失した。そこで、Unc93B1が制御する核酸認識TLR (TLR3, TLR7, TLR9, TLR13)の関与を検証したところ、Acp2/5/T7/T9欠損マウスで肝脾腫の表現型の消失が確認された。Acp2/Acp5欠損マウスはヒトと同じく骨が短くなるが、Acp2/5/T7/T9欠損マウスでは有意に回復した。我々は、研究助成採択後に核酸トランスポーターやヌクレアーゼが欠損するとリソソームに核酸が蓄積し、TLRが炎症反応とは違う応答性を引き起こすことを報告している。核酸トランスポーターSlc29a3の欠損マウスやヌクレアーゼRNaseT2欠損マウスでは、TLRを介して細胞増殖・生存の応答を誘導するとともに、抗炎症応答を引き起こすことを報告した。そこで、Acp2/Acp5欠損マウスにおいて蓄積したマクロファージでどのようなシグナルが活性化されているかを特定するためにRNAseq解析を行った。その結果、TLR7/9依存的な増殖シグナルの活性化が認められた。
公表論文 1. CD20 and CD19 promote proliferation driven by the IgM-TLR9-L265P MyD88 complex. Int Immunol. 2025; dxaf004
2. RNaseT2 deficiency promotes TLR13-dependent replenishment of tissue-protective Kupffer cells. JEM. 2025; 222(3):e20230647.
3. Aberreant monocytopoiesis drives granuloma development in sarcoidosis. Int Immunol. 2024; 36(4):183-196.
4. TLR7/8 stress response drives histiocytosis in SLC29A3 disorders. JEM. 2023; 220(9):e20230054