研究助成

2022年度 医学系研究助成(基礎)

新規炎症記憶モニターマウスを用いた炎症の細胞記憶の包括的なエピゲノム解析

研究題目 新規炎症記憶モニターマウスを用いた炎症の細胞記憶の包括的なエピゲノム解析
年度/助成プログラム 2022年度 医学系研究助成(基礎)
所属 熊本大学 発生医学研究所 細胞医学分野
氏名 古賀 友紹
キーワード エピゲノム / 炎症記憶 / マクロファージ
研究結果概要 本研究では、自然免疫メモリーの構築・維持・消去に関わる分子メカニズムを解明し、自然免疫メモリーを介した感染症の予防効果を立証することを目的とする。また、自然免疫メモリー細胞の除去や、自然免疫メモリーの維持・消去など、感染症予防の新規創薬概念の提起に繋げるものである。まず、自然免疫メモリー細胞を可視化でき且つ除去できるマウスの樹立を試みたが、ラベリング効率が悪かったため、ラベルシステムを再度構築して、現在、新しいマウス系統を樹立中である。また、マクロファージをモデル細胞として、自然免疫メモリーの分子メカニズムの解明を行った結果、メモリー構築にはメバロン酸代謝の変動が重要で、そこからエピゲノムによる記憶が形成・維持されていることがわかった。さらに自然免疫メモリーを形成する候補分子としてヒストン脱メチル化酵素KDM7Aを同定し、KDM7AがTLR8の発現制御を介してマクロファージの可塑性を制御し、肺線維症への移行を抑制することを証明した。これらの結果は、難治性の炎症性疾患の治療標的を提起する重要な基礎的知見である。
公表論文