研究助成

2022年度 医学系研究助成(基礎)

精子形成異常を引き起こす生殖細胞のDNAメチル化誘発メカニズムの解明

研究題目 精子形成異常を引き起こす生殖細胞のDNAメチル化誘発メカニズムの解明
年度/助成プログラム 2022年度 医学系研究助成(基礎)
所属 東北大学 加齢医学研究所
氏名 丹藤 由希子
キーワード 生殖細胞 / 精子形成関連遺伝子 / DNAメチル化 / マウス
研究結果概要 プラスチックの可塑剤として社会生活に普及しているフタル酸ビス(2-エチルヘキシル)(DEHP)の妊娠マウスへの暴露は複数世代にわたる子孫の精子形成異常を誘発する。DEHP母体暴露後のマウス生殖細胞では精子形成関連遺伝子が特異的にメチル化亢進し、精子形成異常の原因と考えられるため、本研究ではDEHPの遺伝子特異的なメチル化亢進のメカニズムを解明することを目的とした。 DEHPは体内でDNAメチル化作用を持つ活性酸素種(ROS: reactive oxygen species)を発生させるため、ROSがメチル化亢進に関与している可能性を検証した。初めに、単一細胞化した胎仔生殖細胞にDEHPまたはDEHPの体内代謝物であるMEHPを添加した後のROS量を調べた。その結果、MEHP添加では有意なROSの増加を認め、DEHP添加では変化がなかった。次に、MEHP添加後の生殖細胞において精子形成関連遺伝子のメチル化変化を調べた。その結果、メチル化率の増減は遺伝子により異なっていた。今後はMEHP添加と同時にROSの阻害剤を添加する実験により、メチル化変化がROSの影響によるものかを検証する。
公表論文 Inheritance of environment-induced phenotypic changes through epigenetic mechanisms Emvironmental epigenetics 2023 Nov 22;9(1):dvad008. doi: 10.1093/eep/dvad008.