研究助成

2022年度 医学系研究助成(臨床)

肺切除術における術後感染症に対するプロバイオティクスの予防効果の検証とメカニズムの解明

研究題目 肺切除術における術後感染症に対するプロバイオティクスの予防効果の検証とメカニズムの解明
年度/助成プログラム 2022年度 医学系研究助成(臨床)
所属 山口大学医学部附属病院 第1外科
氏名 村上 順一
キーワード プロバイオティクス / 肺切除後感染症 / 手術部位感染
研究結果概要 肺切除術後感染症は重大な合併症で、予防策として消化器外科で有効性が示唆されるプロバイオティクスが呼吸器外科でも有効か、そのエビデンスは乏しい。本助成課題はこの点を明らかにするためで、現在症例登録中である。本報告ではその基礎となった単施設後ろ向きコホート研究の結果を報告する。肺癌に対する胸腔鏡下肺切除術患者において、プロバイオティクス(CBM588)の周術期投与が術後感染症予防に有効かつ安全かを評価した。肺切除患者529例を対象とし、CBM588投与群と対照群で比較し、傾向スコアを用いたIPW法で解析した。解析の結果ではCB588投与群は対照群と比較して、術後感染症のリスクが低下した(P=0.048)。臓器/体腔SSI(胸膜炎、膿胸、肺炎)のリスクは低減した(P=0.013)。一方、切開創SSI、他の合併症や死亡率に差はなく、CBM588に関連する有害事象はなかった。これを踏まえ、より質の高いエビデンスを得るため、多施設共同無作為化比較試験(特定臨床研究、jRCTs061230048)を実施中である。本研究で、肺切除術におけるCBM588の術後感染症予防効果の科学的妥当性を検証する。
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