研究助成

2022年度 医学系研究助成(精神・神経・脳領域)

神経細胞におけるalpha-シヌクレイン細胞外分泌を制御するオートファジー分子機構の解明

研究題目 神経細胞におけるalpha-シヌクレイン細胞外分泌を制御するオートファジー分子機構の解明
年度/助成プログラム 2022年度 医学系研究助成(精神・神経・脳領域)
所属 大阪医科薬科大学 内科学Ⅳ・脳神経内科
氏名 中村 善胤
キーワード α-シヌクレイン / 細胞外分泌 / オートファジー / 神経活動 / パーキンソン病
研究結果概要 パーキンソン病の病態にα-シヌクレイン(αS)凝集体形成が深く関与している。αS恒常性維持における細胞内の分解はよく調べられてきたが細胞外分泌の関与は不明である。神経活動亢進はαS細胞外分泌を促進すると報告されたがその機序は不明である。そこで神経活動亢進がどのような経路でαSの細胞外分泌を促進するかマウス大脳皮質初代神経細胞とSH-SY5Y細胞を用いて調べた。神経活動亢進によってαS細胞外分泌が促進され、ATG5ノックダウンによってその促進効果は顕著に抑制され細胞内αS蓄積が見られた。神経活動亢進はオートファジーを促進し、促進効果は細胞内Ca2+キレート剤で抑制された。神経活動亢進はαSとLC3の共局在を増加させた。神経活動亢進によるαS細胞外分泌促進効果は、オートファゴソームと細胞膜の融合を担うRAB8Aノックダウンにより抑制された。これらより神経活動亢進は細胞内Ca2+依存性に分泌型オートファジーによるαS細胞外分泌を促進することを示した。分泌型オートファジーによるαS細胞外分泌を抑制すると細胞内αSは増加しており分泌型オートファジーもαS恒常性維持に関わっていることを示した。
公表論文 Neuronal activity promotes secretory autophagy for the extracellular release of α-synuclein, Journal of Biological Chemistry, 2024;300(7):107419