研究助成
2022年度 医学系研究助成（がん領域（臨床））
Intraductal carcinoma of the prostate（IDCP）の病理学的特徴を持つ前立腺癌組織における遺伝子変異解析とプレシジョンメディスンへの応用
| 研究題目 | Intraductal carcinoma of the prostate（IDCP）の病理学的特徴を持つ前立腺癌組織における遺伝子変異解析とプレシジョンメディスンへの応用 |
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| 年度/助成プログラム | 2022年度 医学系研究助成（がん領域（臨床）） |
| 所属 | 愛媛大学 泌尿器科 |
| 氏名 | 渡辺 隆太 |
| キーワード | IDC-P（導管内浸潤前立腺癌） / 空間的遺伝子発現解析 / 腫瘍微小環境 |
| 研究結果概要 | 近年注目されている前立腺導管内癌（IDCP）は、正常導管内に異型細胞が篩状・充実性に増殖する予後不良と関連する病理像である。特にBRCA2を含むHRR遺伝子変異が高頻度に認められ、欧米では遺伝子検査の早期実施が推奨されている。申請者は、日本におけるIDCPの認知度の低さに着目し、正確な診断法の啓発と遺伝子異常の解析を目的として研究を開始した。過去の前立腺全摘症例からHGPINとの鑑別が難しいborderline症例を精査し、5例のIDCPを同定、いずれもHRR遺伝子変異を高頻度に認めた。さらに空間的遺伝子発現解析を用いてIDCPと浸潤癌の部位別に発現パターンを比較したところ、IDCPではMUC6, MYO16, NPYなどが特異的に高発現し、Hypoxia関連遺伝子の上昇や免疫関連マーカーの低下も認められた。これにより、IDCPが免疫回避的かつ低酸素環境にある高悪性度腫瘍であることが明らかとなった。本解析はIDCPにおける初の空間的遺伝子発現研究であり、診断と治療法の開発に寄与する重要な成果である。 |
| 公表論文 |
1. Watanabe R* Miura N, Kurata M, Kitazawa R, Kikugawa T & Saika T. (2024) et al. Genetic Analysis of Intraductal Carcinoma of the Prostate Detected in High-Grade Prostatic Intraepithelial Neoplasia Cases. Cureus J Med Science 2. Watanabe R*, Miura N, Kurata M, Kitazawa R, Kikugawa T & Saika T. (2024) Unveiling the Genomic Landscape of Intraductal Carcinoma of the Prostate Using Spatial Gene Expression Analysis. Int J Mol Sci. Apr 28;25(9):4818. 3. Watanabe R*, Miura N, Kurata M, Kitazawa R, Kikugawa T & Saika T. (2023) Spatial Gene Expression Analysis Reveals Characteristic Gene Expression Patterns of De Novo Neuroendocrine Prostate Cancer Coexisting with Androgen Receptor Pathway Prostate Cancer. Int J Mol Sci. May 18;24(10):8955. |